議会活動
かつしか区民連合を代表して、ただいま上程中の議案第1号、令和3年度葛飾区一般会計予算ほか4件の各会計予算に賛成の立場を表明し、討論を行うものであります。
かわごえ誠一議員
令和3年度の当初予算は、一般会計で対前年度比2.7%減となる1,994億2,000万円となり、8年連続の増加から一転し減少となりました。歳入面では、一般財源が約64億円の大きな減収になるなど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響が大きく影を落としています。令和3年度の予算編成に当たり、税収減を見越し、事務事業の見直しや事業の先送りなどによる歳出減を行うとともに、財源の補填策として、令和2年度の執行残など、積み立てた財政調整基金から過去最大規模となる58億円の繰入れなどの対策が行われ、財政当局の御苦労が読み取れます。しかし、新型コロナウイルス感染症による再度の緊急事態宣言は、各分野においてさらに深い爪跡を残すことになりました。3月23日に発表された月例経済報告では、景気は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にある中、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られるとし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要があると指摘しています。また、同じく、3月23日に公表された公示地価が6年ぶりに下落し、東京では8年ぶりのマイナスとの報道もありました。これからも感染症のため、経済的にも楽観できない状況が続き、将来的な税収にも大きな影響があると考えられます。今後、バブル後やリーマン後のように、景気回復まで数年かかることも想定し、基金頼りにならないよう、不断の事務事業の見直しや、さらなる行財政改革などの対応を進めるべきです。また、感染症対策の予算の中には、予算策定が行われていた昨年末の段階では、第3波での緊急事態宣言も含めて予測が難しかったということで、年度途中分までしか計上されていない状況もあります。3月21日に緊急事態宣言が解除された後、既に首都圏においてリバウンドの危険性が指摘されており、今後の感染状況を見据えながら、区民に不利益が及ばないように、必要な事業については早い段階で補正予算を組むなど、迅速に対応するための体制整備を求めます。
新型コロナウイルス感染症は、引き続き非正規雇用や独り親家庭、高齢者、障害者など社会的に弱い立場に置かれている方々に、より大きな影響を及ぼしています。これは、今まで隠されていた格差が表面化したものであり、単にコロナ前の生活に戻すのではなく、明らかになった格差を解消し、よりよい社会を目指すという強い意思が必要です。SDGsの理念である誰一人取り残さない持続可能な社会を実現するために真に求められることは、単発の事業による振興策のみでなく、コロナ後の社会、そして、SDGsのゴールとされる2030年に向けてどのような社会をデザインしていくのか、そのビジョンを示し、具体的な取組について立場を超えて行動することであり、そのための持続可能性を持った財政的裏づけが重要になってきます。それでは、以下、私たちかつしか区民連合として、令和3年度予算に対しての主な意見を款項別に抜粋して表明いたします。総務費での財産運用の基金利子収入は貴重な財源です。地元金融機関にも配慮しつつ、安全で確実な運用を前提として、ネット銀行の活用などの検討を行い、運用益の確保を求めます。文書管理では、区民の財産でもある公文書について公文書管理条例の制定スケジュールを早急に示すことを要望します。協働推進経費は、NPOやNGO、地域活動などの主体性を保障しながら社会的な活動を支援するため、事業提案制度の再構築やファンド創設などを検討し、協働を進めるための新たな仕組みづくりを望みます。区民費など、文化施設維持管理経費において、指定管理者への補填は、当初予算ではなく補正予算や予備費で対応するのが適切です。予算執行については、十分留意し、議会への報告を求めます。産業経済費で新型コロナウイルス対策緊急融資の返済据置期間の延長は高く評価します。今後、実態把握を行い、真に苦しんでいる事業者への的確な支援を実行していただくことを願います。福祉費において、社会福祉費での生活困窮者自立支援事業は、待つだけでなく困難を抱えた方の元に出向き、支援に結びつけるアウトリーチ支援員の導入を評価し、今後、居場所づくりや食料支援など社会的課題に対応するNPOなどとの連携を期待します。新小岩での子ども発達センター建設経費では、同じく(仮称)新小岩地域活動センター内に設置される子ども未来プラザの交流保育室との連携について、今から検討を進めていただきたいと思います。障害のある子供を家庭内だけで抱え込まないために、重度障害児に対応したグループホーム整備計画を評価し、今後は運営事業者の確保のための工夫を要望します。高齢者福祉費での高齢者虐待防止として、介護をする家族が精神的・経済的な負担で追い詰められないよう、家族介護者の現状を把握し、支援策の検討を求めます。児童福祉費では、児童相談所開設に向けて人材確保が急務です。熱意と資質のある職員を確保し、開設への体制整備を進めていただきたいと思います。子育てひろば事業は、民間施設での利用が少ない状況を検証し、持続的・効果的な実施に向け、再編と公共施設内での充実を求めます。子ども・若者支援事業では、子ども食堂などへの支援を評価し、リスクを抱えた世帯などに対して様々なセクターと連携した支援体制の構築を願います。子ども未来プラザ建設経費においては、子育て世代地域包括支援センターとしての機能を担うべく、ネウボラ機能の確立、子育て支援ネットワークの構築、フェーズごとの災害対策の検証を求め、それらソフトに応じた施設整備を強く求めるとともに、地域や関係団体、そして、現場の声を十分に取り入れるように要望します。衛生管理費での新型コロナウイルス感染症により、保健所の業務が停滞することのないよう、管理職の兼務の在り方の検討とともに、会計年度任用職員の確保など、感染症を見据えた職員体制の整備に取り組むことを求めます。公衆衛生費での新型コロナウイルス受診相談窓口について、感染による後遺症や生活相談などの窓口を早急に開設すること。また、新型コロナウイルスワクチンは、区民の不安を払拭するために、丁寧な対応と情報発信をすることを強く求めます。環境費の公害防止指導事務での交通騒音は、羽田空港発着の航空機ルートが区内上空に入り込んでいる状況があり、今後増便された際のモニタリング強化と、落下物リスクを基に、安全管理と運航管理について関係機関との協議を要望します。清掃費での清掃関連施設土壌汚染状況調査は、調査報告がされる以前に施設設計が進められており、議会報告も含め唐突感が否めません。議会に対して、その都度説明を求めます。都市整備費の公共交通網充実事業において、循環バスの新規路線の検討と併せ、持続可能な地域社会を目指すため、新たな地域交通のデモ走行、モデル実施の手続を進め、計画づくりを地域と協働し進めることを求めます。新金線旅客化検討において、国道6号線との交差の課題を解決するため、高砂での京成金町線との接続も含め検討を進めるよう願います。街づくり費において、新小岩駅南口地区市街地再開発事業での南口駅前広場の再整備や、現状の駅前広場の課題を解決することを前提に整備を進めることと駅ビルの建設や東北広場のタクシープールの課題など、地域の課題の動向や課題を面的に捉え取り組んでいただきたいと思います。公園費において、中川七曲の親水テラスと堤防道路にクラックなどの不具合があり、空洞調査など対策が望まれます。河川周辺の環境整備も含めて、計画的な対策が必要であることを指摘いたします。教育費での旧校舎等暫定管理は、旧校舎への必要な補修を行い、老朽化や地域の特性に合わせた活用などの検討を深めるよう要望します。学校教育活動指導経費は、小学校教科担任制に向けて、専科教員の確保が重要です。人材確保について、東京理科大学に協力を求めるなど入念な準備を求めます。学校図書館運営経費は、コーディネーターの充実を求めるとともに、ICT推進に併せ、学校図書館のメディア資料の整備方針の検討を願います。にほんごステップアップ教室は、現状では集団指導や多言語への専門性、特別支援教育との連携に課題があり、委託導入による質の向上に期待します。不登校対策事業での校内適応教室は、教育機会確保法にのっとり、不登校児童・生徒の学習機会を保障するため、さらなる拡充と支援体制整備を進めていただきたいと思います。学校改築での学校プールは、方針の決定過程に性急さが感じられ、合意形成の検討とともに、全区的な学校プール利用についてのデータの整理やシミュレーションが必要です。関係者や地域との十分な議論と保護者への説明を丁寧に進めるとともに検討過程について議会への報告を求めます。小学校費において、学校ビオトープは、SDGs実現に向け、校内での継続性を持たせるとともに、周辺地域の環境保全のため計画的な設置を願います。社会教育費は、成人教育運営経費において、新成人とのつながりをつくる機会として、はたちのつどいを活用することを求めます。図書館管理運営の電子図書館導入は評価し、デジタルコンテンツ導入も踏まえ、図書館機能全般を振興するために、学校との連携、課題解決支援、障害者支援、また、施設の老朽化など、今後の図書館の在り方について早急に方針などの策定を要望します。最後に、各特別会計予算は、おおむね適正に編成されているものとし、これを了とします。さきにも述べましたが、新型コロナウイルスへの対応を引き続き迅速かつ的確に行っていただくとともに、将来の税収減の可能性を見込み、限りある財源を計画的かつ効果的、適正に執行していただくよう求めます。それぞれの分科会の審査過程において、私たちかつしか区民連合の委員が述べた意見・提案・指摘については、理事者の皆様に真摯に受け止めていただき、それらを今後の区政運営に反映していただきますよう強く要望いたします。以上で、かつしか区民連合としての討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)